ひとこと
IT時代の「ものづくり」においては、電子化されたデータが飛び交う中、バーチャルな世界で設計、開発が進みます。このような背景においては、リアルな世界とバーチャルな世界とをできる限り近づける必要があります。計算力学(Computational Mechanics)は、そのようなことを実現するために不可欠な学問です。
計算力学の研究においては、最新のコンピュータ技術を用いる華やかな部分もありますが、現実の現象をコンピュータ上で再現できるように計算モデルを作成したり計算プログラムを作成したりという、非常に「厳しい」作業も必要とされます。また、ニュートンの時代以来、古典力学として体系化された学問成果も利用されています。このように最先端の情報技術と古典的な学問成果という土台の上で、誠に人間臭いプログラミング作業や解析作業を通じて現象を理解し、また「ものづくり」に役立てることができる点が、計算力学の面白い点であると思ってます。
長嶋 利夫